2013年6月12日水曜日

アナログRGB/VGA 2013年06月版

概要

1980年代後半から、RAMDACクロックの向上、実装VRAM量/VRAMクロックの増加と共に、画面モードの拡張を続けてきたインターフェイス。

RAMDACは、Red/Green/Blueそれぞれに1チャンネルずつ計3チャンネルのDACで構成され、1クロックで1ピクセル分のデータを伝送できる。色情報は信号電圧の変化によって表現され、8bit仕様のDACなら、電圧を256段階で調節して、RGBそれぞれの色の値を伝えていることになる。

メインのRGBデータを送る信号線の他に、水平同期信号線と垂直同期信号線があり、これらはそれぞれ水平一ライン分の/水平全ラインのRGBデータ伝送の区切りを、電圧の変化によってディスプレイに知らせている。VGAの場合、受け側に到達した時点で2V以上であれば正、0.8V以下であれば負と判定されるが、正負どちらがRGBデータ伝送の区切りを示しているのかは、ハードウェア構造の都合に依り異なる。これが同期極性と呼ばれるものだ。

1994年には、ディスプレイとPC間で情報をやり取りするためのDDC信号線がHD15端子の空きピンに割り当てられた。これはディスプレイの自動認識/画面モード設定/状態制御等を実現するのに役立っている。

RAMDACクロックと画面モード

モニタタイミング規格で要求されるピクセルクロックを、RAMDACクロックが上回るのなら、その画面モードが利用可能になる。

RAMDACクロックと画面モード/リフレッシュレートの関係。2000年台前半までは、VGA二系統出力可能なビデオカードには、プライマリRAMDACとセカンダリRAMDACで最大クロックが異なっている製品が普通にあった。

主要GPUベンダーの内蔵RAMDAC400MHz到達時期
ベンダ製品族名
2005Intel945G /Lakeport系 (これ以降の製品族では350MHz前後)
2003nVIDIAGeForceFX Series /NV3x(NV34除く)系
2002MatroxParheria
2001AMD(ATi)Radeon8500 /R200

2004年以降、AMD/nVIDIAのGPUは、内蔵するRAMDACの動作クロック保証値を400MHzとしている。これは、QXGA2048*1536@85Hzの画面モード(GTFにおいて必要ピクセルクロック388MHz)を可能とするクロックになる。

VGA関連の端子の種類

HD15

上中下各5ピンの三段15ピン。HD15、(ミニ)D-Sub、VGA等ケーブル取扱企業により様々な呼び方がある。

HD15プラグケーブル。1999年のPC99(PCシステムデザインガイドの第三版)によって、VGAインターフェイスは青色に着色することが推奨された。

VGAケーブルは、太く(抵抗が少なく)て堅い(断線しにくい)ケーブルが良いとされていたが、現在ではノートPC等のモバイル機器が主流になっていることもあって、取り回し重視の細くて柔らかいケーブルがウケているようだ。ディスプレイ自体がCRTからLCDに移行して、むやみにリフレッシュレートを上げる = RAMDACクロックを上げる必要がなくなったというのもあるだろう。

こちらはレセプタクル。

HD15登場前(1990年以前?)は上段5ピン、下段4ピンの二段9ピンタイプのVGA用D-Sub端子もあった。

DVI-I

VGA/DVI共用端子。

DVI-Iレセプタクル。PC99による推奨色は白だが、出し側デバイスの場合、VGA出力対応を明示するために、青く着色する場合もある。

ビデオカードにDVI-I端子が二つ付いていたとしても、必ず両方VGA出力ができるというわけではないので注意しよう。近年のGPUはRAMDAC一系統しか備えていない。

出し側DVI-IからHD15プラグケーブルに繋ぐための変換アダプタ。VGA出力に対応するが、HD15端子の無いビデオカード製品にはたいてい同梱されている。VGA伝送に使う信号線だけを結線するようになっているだけで、これ自体がDVI to VGAのコンバート機能を持っているわけではない。

DVI-Iプラグ。「DVI-I端子からの出力でアダプタ使うと接点が増えて信号が劣化するのが嫌なんだよね」という人たちがDVI-I/HD15ケーブルを用いた。

基本的には、一つのDVI-I端子からはVGA/DVIいずれかしか出力できないが、Matrox系など一部のビデオカードには、二股分岐ケーブルを用いることで、VGAとDVIの二系統同時出力を可能とした製品もあった。

LCDパネルがUXGAの頃までは、VGA/DVI入力両対応のレセプタクルとしてDVI-Iを採用するLCD製品も普通にあったが、近年のLCD製品はDVI-Iの使用を避け、DVIはDVI-D、VGAはHD15と別けて実装している。

BNC5

HD15端子で受けるよりノイズが少ないとされ、高価格帯のCRTディスプレイを中心に採用されていた端子。DVIの普及と共に、一般店舗では見られなくなった。

BNCプラグケーブル。

HD15と違ってDDC用の信号線を持たないため、ディスプレイの自動認識が出来ず、ディスプレイ定義ファイル(拡張子inf)のインストールが必要になる場合がある。

VGAインターフェイスの今後

Intel、AMDともに2014-15年にかけて廃止を予定しており、最近のIGP用チップセットがサポートするRAMDACクロックは200MHz前後まで減ってきている。

近年のIntel/AMDのチップセット内蔵RAMDACクロック
ベンダ製品族名クロック上限(MHz)
2013AMDHD8400他 /kabini,Temash210
2013IntelIntel 8 Series /LynxPoint180
2011AMDA75/55 /Hudson200前後?

一方の受け側ディスプレイは、既にCRTは製造終了、WQXGA/WQHDパネルを使った高解像度LCD製品であっても、VGAでのWQXGA/WQHD入力には対応していないため(2048*1280くらいが限界らしい)、高クロックRAMDACに固執する意義は既に失くなっている。

外部コンバータを使う to VGA接続
出し側注釈
HDMIここ2-3年?で手のひらサイズのHDMI to VGAコンバータ機器が手に入るようになってきた。標準化団体が無いのか、Web上では結構相性問題が散見されるが。
(Mini)DisplayPortRadeonHD5k登場以降、DPの変換接続が知られるようになった。

VGAの直接出力廃止後は、これらのアクティブアダプタ(コンバータ機器)を介して、映像信号を変換してVGA出力する運用になるだろう。これらのRAMDACはやはり200MHz前後のものなので、CRTを墓まで持って行きたいと考えている人(いるのか?)は、今の内に適当なビデオカードを確保しておくべきそうするべき。

  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Vga-cable.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:VGA_port.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:DVI-Stecker.JPG
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Graphics_board_mini-HDMI_and_DVI-I_connectors_IMGP0972_wp.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:BNC_connectors.jpg
  • http://commons.wikimedia.org/wiki/File:DVI-VGA-Adapter.jpg

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